株式の長期投資で最も避けたいことの一つは、投資先企業の上場廃止でしょう。
上場廃止の理由
上場廃止理由にはいくつかありますが、戦略的な企業合併等による上場廃止ならば、仕方ないと納得できます。というのは、その企業がより良い方向に進むための決断だからです。
また、合併するときの適正な株価水準で、保有株を売却できます。買値が高すぎると売却時に損してしまいますが、それは仕方がないと割り切ります。
残念なのは、業績不振等による上場廃止です。上場廃止直前の株価が1円という状態になりますと、長期投資では大損になってしまうかもしれません。そこで、東京証券取引所(東証)における上場廃止銘柄数やその特徴を確認しましょう。
上場廃止になる企業数や割合などのデータを確認すれば、上場廃止銘柄をつかんでしまうリスクを減らせると期待できます。
東証における上場廃止銘柄数
完全子会社化や株式の全部取得等による上場廃止以外、すなわち、民事再生手続きや有価証券報告書提出遅延などの残念な理由で上場廃止になった件数をまとめました。
以下のとおりです(引用元:東証ホームページ)。なお、外国株は除外しており、表の略称の意味は以下の通りです。
2部:東証第2部
M:東証マザーズ
JQス:ジャスダック(スタンダード)
JQグ:ジャスダック(グロース)
年 | 1部 | 2部 | M | JQス | JQグ |
---|---|---|---|---|---|
2013 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 |
2014 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
2015 | 3 | 1 | 2 | 1 | 1 |
2016 | 0 | 1 | 1 | 3 | 1 |
2017 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 |
合計 | 4 | 4 | 3 | 8 | 4 |
2013年から2017年までのデータですが、毎年1件はあるということが分かります。ジャスダック上場企業の上場廃止数が比較的多いことが分かります。
市場ごとの上場廃止数等の比較
では、この数字は多いとみるべきでしょうか。それとも、少ないとみるべきでしょうか。
民事再生手続きなどを理由とする上場廃止が1件でもあると、面白くありません。しかし、1件でもあると嫌だという方針では、株式投資ができなくなります。というのは、上場株式は、上場廃止の可能性を完全にゼロにはできないからです。
そこで、一定の割合の上場廃止はやむを得ないと想定します。
では、上場廃止になる銘柄を買わないようにするには、どの市場の株式を買えば良いでしょうか。これを考えるために、「上場廃止になる確率」を考えます。
東証1部の企業数は、2,000を超えています。一方、ジャスダック(グロース)は、40くらいです。母数が圧倒的に違います。よって、上場廃止になった件数だけ見ていると、正確な判断が難しいです。
下のグラフは、上場廃止になった企業の割合を示しています。
青い線が、とびぬけて高い数字になっています。ジャスダック(グロース)です。ジャスダック(グロース)に属している会社の数は、40台です。そして、毎年1件くらい上場廃止になっています。
このため、ジャスダック(グロース)の上場廃止確率は2%台となり、他の市場よりも圧倒的に高い数字になっています。
その他の4つの市場を見ますと、上場廃止確率は似たような数字になっています。1%を超えていません。2015年の東証マザーズが、もうすぐで1%になるかも?という数字になったくらいです。
以上の実績を踏まえますと、ジャスダック(グロース)の銘柄で長期投資するのは、通常以上に警戒が必要だと分かります。
長期投資の際の銘柄選択基準は?
長期投資をする場合、買ってから売却するまでの期間は、1年以上になることが多いでしょう。場合によっては、5年、10年、20年と持ち続けるかもしれません。
長期で保有すればするほど、上場廃止に遭遇してしまう可能性も出てきます。そこで、民事再生などを理由とする上場廃止を避けたいときは、東証1部または2部の上場企業を中心に買うという選択肢になるでしょう。
しかし、ジャスダックなどの新興市場の銘柄は、将来大化けするかもしれません。あるいは、自分にとって魅力的な株主優待を出している企業は、新興市場の上場企業かもしれません。
東証1部上場企業ならば安全だという保証はないので、こういった株式にも投資したいでしょう。
そこで、東証1部上場企業だけで長期投資するのも選択肢ではありますが、銘柄の一部に新興国市場を入れておくと、楽しみが大きくなると思います。
長期保有なら、分散投資
なお、一点集中買いで特定の株式だけ買うと、業績悪化等による株価下落時に痛い損失を被ってしまいます。そこで、可能な範囲で分散して投資することが望ましいです。
業績悪化で株価急落ならば、まだ我慢できるかもしれません。これが、企業が犯罪的な行動をしていたことが明らかになって株価急落となると、怒りが収まりません。しかし、怒っても、株価は回復しません。
将来、何が起きるのか分からないのが、株式投資です。可能な範囲で分散して、長期保有するのが望ましいです。
資金が十分でない場合
分散投資するには、ある程度の資金量が必要です。しかし、資金量が不十分だとします。この場合、どうしましょうか。教科書的な回答を考えるなら、「投資する前にお金を稼いで、投資資金を作りましょう」かもしれません。
しかし、投資資金を作りながら、同時に長期投資をしたい場合もあるでしょう。
この場合、1株から株式を売買できる証券会社で口座を作るのが選択肢になります。1単元が1,000株であっても、1株から売買できます。1株から売買できるなら、分散投資も可能になります。
通常、1株から株式を売買するのは、証券会社に歓迎されません。そもそも取引不可という証券会社も少なくありません。そんな中、カブドットコム証券は、1株からの売買を歓迎しています。下の画像は、カブドットコム証券からの引用です。
今はまだ小さいけれど、将来は大きく投資してやるぞ!という場合、カブドットコム証券が有力な選択肢になります。
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- 考え方: 株式の長期投資の考え方
- 配当: 配当はどれくらいもらえるか
- 上場廃止: 業績不振等で上場廃止になる銘柄数
- 勤め先: 勤め先の株式を買うのは要注意
- 日経平均: 日経平均ETF(日経225)の配当
- 銘柄: 長期投資でどの銘柄を買うべきか
- FXを利用: 長期保有の株式を利用して、FXで取引
- 損切りしない: 損切りしない株式投資
- 不動産: 人口推移と不動産業界
- 旅行: 外国人観光客は救世主になるか
- お酒: ビール業界の努力
- FX: FX業界と株式投資
- 人口: 日本の推計人口と株式投資
- GDP: 日本のGDPと日経平均株価
- CPI: CPI上昇率と日経平均株価
- 金利: 国債金利と日経平均株価
- 失業率: 失業率と日経平均株価