ETFは、投資信託です。ただし、一般の投資信託とは異なり、上場しています。このため、株式と同じ感覚で売買できます。
ETFのメリットとデメリットを確認しましょう。
ETFのメリット
ETFは上場していますので、他の株式と同様に売買できます。これが、最も基本的な特徴になります。取引時間も、株式と同じです。
メリット:ETFは株式と同じ感覚で取引できる
ETFには以下の特徴があります。このため、株式と同じ感覚で売買可能です。さらに、数千円から数万円程度から購入できるので、大きな資金がなくても売買できます。
・どの証券会社でも取引可能
・リアルタイムで売買可能
・成行注文や指値注文が使える
・信用取引ができる
これに対し、一般的な投資信託は以下の通りです。一般的な投資信託は、頻繁に売買して差額を稼ぐことを想定していません。このため、短期的な売買に向きません。
・特定の証券会社や銀行で売買可能
・特定の価格で売買可能
・指値できない
・信用取引はできない
メリット:様々な投資対象に投資できる
ETFの銘柄を見ると、実に様々な投資対象があることが分かります。例えば、以下の通りです。通常の株式とは異なります。
・TOPIX
・原油先物
・貴金属
仮に、ETFがないと仮定しましょう。この場合、どうやって日経平均株価に投資しましょうか。225銘柄を全部買うか、日経平均株価に与える影響力の大きい銘柄を買い揃えるか、いずれかになるでしょう。
多額の自己資金が必要ですし、手間も大変です。原油先物も、ハードルが高そうです。買って放置というわけにはいきません。
ETFがあるおかげで、小さな自己資金で様々な投資対象に投資できます。
メリット:信託報酬が安い
ETFは投資信託ですので、信託報酬が発生します。信託報酬とは、管理費のようなものです。ETFを運営する会社が、一定割合の金額を徴収します。
ETFは、信託報酬が安いです。具体的には、年率0.06%~0.95%です(東証ホームページより)。一般的な投資信託の場合、1%を超えるものが少なくありません。信託報酬はコストそのものですので、少ない方が良いです。
なお、信託報酬は、ETFを持っている人の口座から引き落とされることはありません。ETFそのものから信託報酬を支払います。
よって、毎日公表される基準価額は、この信託報酬が引かれた後の価格になります。
ETFのデメリット
では、ETFのデメリットを考察しましょう。
株式と同様に売買できて、自分では投資できないような対象にまで投資できて、しかも信託報酬が安いです。どのようなデメリットがあるでしょうか。
デメリット:上場廃止になる可能性
株式と同様に売買できる点から、何となく想像できる点かもしれません。ETFは上場しています。よって、一定の条件を満たすと上場廃止になります。
日経平均株価やTOPIXといった指数は、上場廃止になりません(そもそも、上場していませんが)。
ETFを買うことによって、日経平均株価等に連動する成績を得ることができます。しかし、日経平均株価そのものを売買しているわけではありません。この点、注意が必要です。
ETFの上場廃止例
東証ホームページによると、2015年7月から2018年3月までに上場廃止となったETFは、全部で20あります。2年半で20銘柄ですから、少ない数ではありません。
株式の場合、上場廃止になると株価は0円になる場合もあります。ETFも同様だったら困ります。
では、ETFが上場廃止になると、どうなるでしょうか。2018年1月22日付で上場廃止になった、「iシェアーズETF-JDRシリーズ」の例で確認しましょう(BlackRockホームページから引用)。
1月19日:東証での最終売買日
1月22日:上場廃止日
1月24日:信託終了日
3月5日:残余財産給付開始日
6月22日:最終計算報告書発送日
上場廃止になると、残余財産を後日もらえる
上場廃止になると、必ずしも価格が0円になるわけではなく、残余財産が分配されます。ただし、上の日程で確認できます通り、上場廃止日から実際に現金を受け取るまでに、半年弱の時間がかかっています。
この期間、自分のお金なのに自由にできません。
この期間が嫌です。そこで、上場廃止が決まると、売却したいと考える人が多くなってもおかしくありません。一方、上場廃止になるETFを買いたいという人は、なかなかいないかもしれません。
この結果、売却したくても思い通りにできないリスクがあります。
また、給付された残余財産は、NISAの適用外です。さらに、特定口座内で他の譲渡所得との間で損益通算することもできません。
以上の通り考えると、上場廃止になるETFを持ち続けるメリットはないように見えます。上場廃止が決まったら、類似のETFに乗り換えることが選択肢になるでしょう。
デメリット:発行体の倒産リスク
ETFの作り方には、様々なタイプがあります。このうち、「リンク債型」「OTCスワップ型」と呼ばれるものについては、発行者の信用リスクにも考慮が必要です。
すなわち、発行者が倒産等になると、ETFの価値も毀損してしまう可能性があります。
東証ホームページによると、これらの方法で作られているETFは、以下の通りです。銘柄数自体は多くないことが分かります。
・NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信
・金価格連動型上場投資信託
・国際のETF VIX短期先物指数
・国際のETF VIX中期先物指数
・S&P GSCI商品指数エネルギー&メタル・キャップド・コンポーネント35/20・THEAM・イージーUCITS・ETFクラスA米ドル建受益証券
・ETFS商品上場投資信託
デメリットもあるが、メリットもたくさん
以上、主なメリットとデメリットを考察してきました。デメリットがあるのは確かですが、それを上回るだろうメリットがあるのも確かです。
このため、自己資金の一部を使って、ETF売買を検討できるでしょう。
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