財務諸表分析と言えば、直近の期末の数字で分析することが多いかもしれません。

しかし、株式で長期投資をしようと思うならば特に、3期から5期分の財務諸表を使って分析したほうが良いかもしれません。

3期から5期分の財務諸表で分析すべき理由

財務諸表の特徴の一つに、「決算期末の会社の状況を表現している」ということがあります。すなわち、財務諸表が表現しているのは、特定の時点の会社の様子だということです。

しかし、企業は毎日活動を続けており、少しずつ状況は変わっていきます。その「変化の方向」を調べようと思えば、特定の一時期のデータだけでは不十分です。2つ3つとデータが必要になります。

下のグラフで確認しましょう。このグラフは売上高を示していると仮定しましょう。

financial-statements-five-years

上のグラフは2つありますが、上も下も前期の売上高は全く同じです。しかし、上側の場合、年を経るごとに売上高が減少しています。一方、下側のグラフは、年を追うごとに売上高が増えています。

上側と下側で前期の売上高は同じですが、評価は全く違うものになるでしょう。すなわち、上側は「何とかしなければ!」と焦りの色が見えるかもしれません。一方、下側は、「順調で素晴らしい!」となるでしょう。

このように、企業の進んでいる方向を正確に把握するためには、過去3年から5年分の財務諸表を準備して調査する必要があるでしょう。長期で株式を保有しようとする場合、このような複数年の分析が特に重要になると考えられます。

複数年の分析で、企業の「異変」を察知できることも

上の例では、売上高の推移を考えました。その他にも、以下のような例で企業の「異変」を察知することが可能かもしれません。

例1:
売上高に変調はないけれども、売掛金が急上昇している。よく見ると、現預金残高が減っているようだ。ということは、資金繰りに苦労しているかもしれない。黒字なのに資金ショートで突然倒産してしまわないか、注意が必要だ・・・。

例2:
資産の額はあまり変化がないけれども、よく見ると、在庫(棚卸資産)が急増している。これは、予想よりも売上が悪いんだろう・・・。このまま推移すると、在庫の評価額が下がってしまい、いきなり大きな損失が表面化するかもしれない。要注意だ。

例3:
短期借入金と長期借入金の推移が何か変だ。現預金残高との整合性もないような気がする。もしかして、不正な会計をしているかも・・。

上の分析は例にすぎませんが、このような分析をするためには過去何年もの財務諸表が必要です。前期分だけでは、このような分析は困難です。

過去10期分(10年分)の財務諸表で分析したほうが良いか?

では、このような分析で有効な成果を得るためには、過去何期分のデータが必要でしょうか。5年よりも10年、10年よりも20年あった方が良いでしょうか?

過去10年分の財務諸表で分析しても構わないと思いますが、効果的な分析ができるかどうかについては不明です。というのは、現代社会は経済の変化が激しいので、10年前の財務諸表を使って分析しても、現代に当てはめることが難しいかもしれないからです。

企業の内部事情を見ても、人事異動や定年などで人材が入れ替わってしまい、10年前のデータを使っても正確な分析はできないかもしれません。

私たち投資家としましても、分析するための時間が有り余っているわけではありません。そこで、過去3期分(3年分)から5期分(5年分)の財務諸表を使って分析するのが、現実的な選択肢ではなかろうかと予想します。

 

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