財務諸表分析をすると、こんな場面に遭遇するかもしれません。

・この銘柄はPERが高いな。財務状況は良好だけど、買うのはやめよう。
・あの銘柄はPERが安いな。財務状況は良いし、買ってみよう。

しかし、実際に買う前に、もう一つ確認しておきたいです。それは、「同業他社はどうだろう?」ということです。

同業他社についても確認する理由は?

上で例に出したPERで考えてみましょう。

PER(株価収益率)は、その企業が稼ぐ利益と株価の関係を示すものです。利益額に対して株価がとても高い場合、PERも高くなります。逆に、利益額に対して株価が低い場合、PERも低くなります。

この説明だけで考えると、(財務が健全な銘柄ならば)PERが低い銘柄を買ったほうが良いという結論になるでしょう。いわゆる「出遅れ株」だと見なせるからです。

しかし、この考え方で株式を買っていると、思い通りにならない場面が多々あるかもしれません。というのは、「なぜPERが高いのか?あるいは安いのか?」を考える視点が抜けているからです。PERの高低の理由の一つとして、次のようなものがあるでしょう。

・PERが高い理由(例)
その企業や、その企業が属する業界の将来の成長力が極めて高いと予想されている。このため、現在のPERが割高であっても、将来の業績拡大とともにさらなる株価上昇を見込めるから。
・PERが低い理由(例)
企業業績は安定しているけれども、その企業や業界は既に成熟していて、将来の大きな発展を予想しづらい。よって、利益水準に対して低い株価であっても、さらに買うことが難しい。

この状態だったら、PERが低いからという理由で割安株を買っても、思い通りに株価が上昇しづらいということになります。一方、PERが高いからという理由で見送った銘柄については、株価がどんどん上昇するかもしれません。

この失敗を回避するために、同業他社についても同じようにPERを確認します。すると、全体的にPERについてどういう傾向があるのかが分かります。

比較という意味では、過去のPERも調べると、より効果的な分析ができるでしょう。すなわち、「この株式はPERが低いから買い時だと思ったけれど、調べてみたら、過去から現在に至るまでずっと低いPERだった!」と分かるかもしれません。

この場合、PERが低いことが通常ですから、これを理由に買うのはリスクが高いかもしれません。

同業他社と比較した結果を生かしたトレード手法

同業他社と比較していると、「A社の株価は業界全体から見て株価が高すぎる、一方、B社の株価は業界全体から見て株価が安すぎる」ということが見える場合があります。

これを利用したトレード手法があります。といっても、簡単な方法です。

他社との比較を利用したトレード手法:
・業界全体から見て、割安な株式を買う
・業界全体から見て、割高な株式を売る

PERが低いから買うとか、PERが高いから買わないという方法ではありません。他社との比較でトレードの方向(買いか売りか)を決めます。

なお、買いのトレードは現物株式を買うことで実行できますが、売りについてはできません。そこで、売りでトレードする場合は信用取引を使うか、CFDなどで取引することになります。

信用取引やCFDは現物株式の取引とルールが異なります。しかし、他の取引方法を知っているかいないかの差は、株式市場の理解度に大きくかかわってきます。そこで、実際に信用取引をするか、CFDで取引するかは別として、知識としてこれらを知っておく価値はあるでしょう。

 

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