財務諸表を分析するとき、あることに気づくかもしれません。それは、財務諸表に書いてある数字をそのまま使って分析することは多くないということです。多くの場合「比率」で分析します。

「比率」で分析するとは

例題:ある企業の現預金の額が10億円だったとしましょう。この企業に投資しても大丈夫でしょうか。

この例題を考える場合、現預金が10億円という数字しか分かりません。10億円というのはとても大きな数字ですが、これだけでは分析できません。

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仮に、この企業が今後1年間で返済しなければならない借金が100億円だったら、どうしましょう?現預金は10億円しかありませんから、借金は現預金の10倍です。1年後にはこの企業は上場廃止で株価がゼロ円になっているかもしれません。

一方、この企業の借金が1億円の場合、借金は手元資金の10%しかありませんから、財務健全度は高いでしょう。

この例では、「10倍」と「10%」という比率が出てきました。このように、財務諸表は「比率」で考えることが多いです。株式投資の世界でよく使われる分析指標について、何と何の比率なのか、下に例を書いてみます。

PER・・・利益と株価
PBR・・・純資産と株価
ROE・・・利益と株主資本

数字そのものが重要な場合

以上の通り、財務諸表分析では比率がとても重要です。しかし、数字そのものがとても重要だという例もあります。2つ挙げてみましょう。

純資産

純資産がプラスかマイナスかというのは、極めて大きな差です。ほとんどの企業は純資産がプラスです。マイナスの企業があれば、その企業は「債務超過」になっているということです。

債務超過とは、資産をすべて現金化して返済しても返済しきれない状態です。すなわち、倒産へのカウントダウンが始まっています。債務超過になっている企業の株式を買って長期に運用するのは、極めてリスクが高い投資方法だと分かります。

(ただし、どこかから資金を調達してくる可能性もありますから、必ず倒産するというわけではありません。)

キャッシュフロー

キャッシュフローはお金の流れです。これがプラスである場合、企業から出ていったお金よりも入ってきたお金の方が多いという意味です。全く問題ありません。望ましい状態です。

しかし、キャッシュフローがマイナスの場合は改善が必要です。というのは、企業活動をした結果、企業内からお金が減ってしまったということだからです。

ただし、債務超過の場合に比べれば、その緊急度はずっと小さいでしょう。というのは、1回や2回の資金流出で倒産に追い込まれてしまうほど脆弱な会社は、極めて少ないだろうからです。

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以上の通り、数字そのものが重要だという例もありますが、基本的には比率を中心にして考察していきましょう。

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