特集記事「日本の推計人口と株式投資」において、日本の人口が減り続けることを確認しました。では、人口減少は住宅建築業界と賃貸業界にどのような影響を与えるでしょうか。統計資料を使って考察しましょう。

最初に、日本の人口が今後減り続けるだろうという予測を示したグラフをご覧ください。データ引用元は国立社会保障・人口問題研究所です。縦軸は人数(千人)、横軸は年です。

population

上のグラフは2040年までの予測値ですが、毎年のように人口が減り続け、かつ、減少幅が年を追うごとに大きくなっている様子が分かります。

人口が減れば、その分だけ住宅は不要となります。そこで、現在の日本では住宅数の調整がなされているのでしょうか。データで順に確認していきましょう(データ引用元:平成25年度住宅・土地統計調査(速報集計)

人口は減っているが、住宅数は増加。そこで生じる問題とは?

最初に、住宅数・空き家の数・空家率の推移を確認しましょう。

empty-house

昭和38年(1963年)以降のデータですが、年を追うごとに総住宅数が増え続けていることが分かります。昭和時代は人口も増え続けていましたので、住宅数が増えるのは自然なことでしょう。しかし、平成に入って人口が減少に転じた後も住宅数が増え続けていることが分かります。

その結果、空き家の数も増え続けています。結果として、空き家率も増加を続けていることが分かります。平成25年(2013年)現在、全国平均で13.5%が空き家です。

すなわち、100軒のうち13軒~14軒が空き家だということになります。

では、住宅数が増え続ける原因として、一戸建てが増えているからでしょうか。それとも、集合住宅(アパートなど)が増えているからでしょうか。次のグラフをご覧ください。

condominium

上のグラフを見ますと、「一戸建ても共同住宅も、両方とも増え続けている」ことが分かります。人口は減っているのに、です。

今後起こりうる状況と株式投資

今後、少子高齢化がさらに進むと、養護老人ホーム等に入居する高齢者が増えてくるでしょう。すると、人口減少速度よりも、空き家増加速度の方が速くなる可能性があります。

すると、住宅を必要とする世帯側の考え方が変わってくる可能性があります。また、日本の諸制度が変わってくる可能性があります。例えば、以下の通りです。

世帯の意識変化:
・無理して新築を買わなくても、中古を買ってリノベーションすれば良いのでは?
・住宅が余るということは価格も下がるということだから、買うのは損では?
制度の変化:
・空き家対策を進めるため、中古建築物の流動性を上げる制度の創設

すると、新築住宅に対する需要が次第に低下する可能性があります。このため、建築が主力でリフォームやリノベーションへの取り組みが遅れている建築会社等は厳しい局面を迎えるかもしれません。

また、以上のとおり空室率が上昇一辺倒ですから、賃貸市場も値崩れする可能性があります。値崩れしてもビジネスを維持できる体制にある会社、値崩れしないように工夫している会社。そのような会社を見極めて投資したいです。

最後に、都道府県別の空き家率を確認しましょう。平成20年(2008年)と平成25年(2013年)が比較できます。東日本大震災の被災地を除き、軒並み空き家率が上昇していることが分かります。

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空き家率が高い都道府県は空き家率の数字の増加幅も大きくなっています。人口減が進んでいる地域とおおむね一致しており、この地域を地盤とする不動産業者や住宅建築会社に投資する際には、財務諸表などを慎重に分析したいです。

 

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