別記事「チャート分析が勝率100%を達成できない理由」において、完全無欠のチャート分析は存在しないだろうことを予想しました。

では、勝つことも負けることもあるチャート分析やトレード手法を使って、どのように資金を増やしていけば良いでしょうか。

資金管理が最も重要

勝率100%を期待できないということは、トレードでは負けることもある、ということになります。

ということは、その負けのトレードで大損せず、勝つ時にはしっかり利食いするという姿勢が必要になります。負けのダメージを小さくするには、資金管理が重要になります。

資金管理とは、自分の資産額と投資額を把握し、損失額を自分の資産の一定割合以内に抑え続けることを言います。

勝率90%でも、損することがある

たとえば、勝率90%の素晴らしいトレード手法があったとします。この方法を使ってトレードすれば、勝利間違いなしのように見えます。というのは、10回トレードしたら9回勝ち、負けはたったの1回だからです。

そこで、Aさんはこの手法でトレードを開始しました。

第1戦目。勝ちました。
第2戦目。また勝ちました。
第3戦目。当然のように勝ちました。

ここでAさんは思いました。「毎回の利益を1,000円に設定しているから、3連勝で3,000円の勝ちだ。しかし、1回10万円の利益に設定すれば、今までの3戦で30万円稼げたはずだ。しかし、実際は3,000円だ。これはもったいない。次から1回の利益を10万円にしよう。」

こうして、Aさんは取引量を100倍にしました。

第4戦目。負けてしまいまいた。

このトレード手法は勝率100%でなくて90%ですから、10回に1回は負けます。今回はその負けになってしまったのですが、取引量を100倍にしていたので、損失は10万円になってしまいました。

4戦して、3勝1敗。勝率は75%で優秀ですが、損益はマイナス97,000円です。Aさんはやる気をなくして、トレードをやめました。

すなわち、勝率90%のトレード手法でも、結果として負けてしまいました。

資金管理を確実にしよう

上の話は、極端かもしれません。しかし、ありうる話です。では、勝率90%のトレード手法で、勝敗では大きく勝ち越しているのに最終的に損してしまった理由は何か?です。

1回のトレードに投入する額がマズかったということでしょう。すなわち、資金管理が大切だということになります。

勝率と勝ち数の関係

ここで、勝率と勝ち数の関係を確認しましょう。勝率90%は少々現実味がないように見えますので、勝率65%にします。勝率65%で10回トレードした場合、何回勝てるでしょうか。結果は以下の通りです。

(なお、あるトレードと別のトレードの間には、勝敗につき何の関係もないとします。すなわち、今回負けたから気持ちが熱くなって連敗するということはなく、毎回淡々と確率通りにトレードすると仮定します。)

勝率と勝敗数

上のグラフの読み方ですが、勝率65%で10回トレードした場合、7回勝つ確率が最も高いことが分かります。実現可能性は25%です。次に、6回勝つ確率が高いです。勝率と勝利数には大きな関係があると分かります。

しかし、勝率65%でも、4回以下しか勝てない可能性があることが分かります。4回以下しか勝てない確率は、およそ9.5%です。とても高い数字ではないでしょうか。

勝率65%といえば、3回に2回は勝てるくらいの勝率です。それでも、10回トレードして半分も勝てない確率が10%近くもあります。

100回トレードする場合

次に、勝率65%で100回トレードした場合を確認しましょう。取引回数を10倍に増やしました。結果は、下のグラフの通りです。

勝率と勝敗数

100回トレードすると、勝利数が60回~70回あたりになるという確率がとても高いことが分かります。10回トレードした場合と比べると、勝利数が半分にも満たない可能性が激減していることが分かります。100回トレードして勝利数が49回以下となる確率は、およそ0.07%でした。

資金管理の重要性

上の2つのグラフで分かることは、以下の通りです。

・取引回数が少ないと、勝率が高くても負け越す可能性がある
・取引回数が多くなればなるほど、確率通りの結果を得られる

このため、とても自信があるというトレード方法を見つけたとしても、トレード回数が少ないうちは、負け越してしまう可能性があります。よって、自分の資金量に比べて取引の額は小さくして、繰り返しトレードする必要があります。

最初から大きく取引するのは、ケガの元です。

最初のうちは勝利数が伸びないとしても、回数を重ねると、確率通りの結果に近づいていくと予想できます。

取引を繰り返して利益が十分に大きくなってから、取引金額を少しずつ増やしていきます。この場合も、臆病なくらいにゆっくりと取引額を増やすべきでしょう。今まで勝っていたのは「たまたま」で、これからは勝てない流れになるかもしれないからです。

1回のトレードで許容できる損失割合

次に、「1回の損失額を自己資金の一定範囲内に抑える」という資金管理を考察します。この資金管理方法を採用する場合、負けるときの金額は、自己資金の1%までにすべきでしょう。

と言いますのは、勝率が60%台の場合、4連敗や5連敗になることは珍しくないからです。

トレードでは、1回の負けでも苦痛です。連敗したら、もっと苦痛です。4連敗、5連敗と続くと、冷静にトレードを続けるのは難しいかもしれません。しかし、勝率60%台では、往々にして起こりえます。

そこで、そのような連敗になるとき、(精神的ダメージは大きくても)自己資金のダメージは軽微になるようにします。

精神的ダメージは、しばらく相場から離れることによってリフレッシュさせます。気分がすっきりした後、再び資金増加を目指します。

自己資金100万円で、5連敗しても95万円が残っています。ここからの挽回は可能です。

1トレードの損失割合が大きい場合

一方、1トレードの損失許容割合を10%として5連敗する場合、自己資金は半分になってしまいます。気分はリフレッシュできても、資金が半減したという事実は変わりません。

減るときは5割減でしたが、これを元の金額まで復活させようとすると、資金を2倍にしなければなりません。下の例の通りです。

例:
投資元本:100万円
50%の損:残り50万円
元に戻すには、50万円を100万にしなければならない

トレードで資金を2倍にするのは、大変なことです。

負けるのは比較的簡単ですが、そこから復活するのは厳しいです。そこで、損する場合の金額を小さくして、ダメージを軽くします。この資金管理を採用すれば、長期的な成功を期待しやすくなります。

 

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