成行注文(なりゆきちゅうもん)には、様々な種類があります。では、それらをどのような場面で、どのような目的で使えばメリットが大きいでしょうか。
また、どのようなデメリットがあるでしょうか。確認しましょう。
成行注文(なりゆきちゅうもん)
成行注文とは、注文価格を指定せず、約定することを優先した取引方法です。ザラバ(証券取引所の立会時間中)に使う取引方法です。
- 買い注文のとき:最も価格の低い売り注文に対して買い注文が実行され、約定します。
- 売り注文のとき:最も価格の高い買い注文に対して売り注文が実行され、約定します。
メリット
取引価格に構わず約定を優先する方法ですから、注文が約定する可能性が高くなります。
ただし、いつでも必ず約定するとは限りません。
例えば、ストップ高で売り注文がない場合、成行で買い注文を出しても約定しないかもしれません。この場合は、立会時間後の比例配分で買える可能性があります。売りの場合も同様です。
ストップ安で買い注文がない時に成行で売っても、約定しないかもしれません。
デメリット
約定優先の注文方法ですから、意図した価格と異なる株価で約定する可能性があります。流動性が高い株式ならば問題にならないかもしれません。
しかし、流動性が小さい銘柄ですと、意図した株価と大幅に違う株価で約定する可能性があります。
よって、流動性が小さい銘柄での成行注文には、特に注意が必要です。
約定価格が心配になる場合は、指値注文を使います。注文板で一番安値の売り注文よりも、少し高い価格で指値注文を出します。
すると、成行と同じように買えますし、指値で指定した価格よりも高い値段で買うこともありません。
IOC成行(あい・おー・しー・なりゆき)
IOC成行とは、成行の注文を執行する時点の株価で、瞬時に一部またはすべての注文を約定させます。約定できなかった注文は失効します。
ザラバ(証券取引所の立会時間中)に使う注文方法です。
「一部」だけの注文が約定する場合ですが、例えば、成行注文を執行する時点の株価での売り数量が1,000株の時に、1,500株分のIOC成行買い注文を出すと、1,000株の買いが約定します。
残りの500株の注文は失効します。
メリット
成行注文と異なり、意図しない株価で約定してしまう可能性がなくなります。意図した株価で買えるのがメリットです。
デメリット
成行注文ではありますが、条件付きの成行です。よって、期待した発注数量が約定するとは限りません。約定価格よりも、約定数量を優先する場合は、通常の成行注文を使います。
寄成(よりなり)
寄成とは、前場寄付き(よりつき)前に寄成注文を発注すると、前場が始まった直後に成行で売買が成立する取引です。
前場で取引が成立しないまま時間が経過するときは、後場の寄付きで成行で約定します。
また、後場寄付き前に寄成注文を出すと、後場が始まった直後に成行で売買が成立します。
メリット
前場始値、または後場始値で約定したいときに便利です。始値で約定させたい場合の例は、以下の通りです。
ある銘柄の日足チャートを分析したところ、ある曜日には前場寄付きで買って終値付近で売ると、成績が良好だと分かったとします。
この場合、「前場寄付きで買い、終値付近で売る」という売買戦略が出来上がります。これを実行するには、寄成で買う注文が便利です。
デメリット
寄付きという特定の時間ではありますが、成行で売買注文を執行します。このため、約定してみたら意図した株価とは大幅に違った!ということがありえます。
売買動向に注意を払いましょう。
引成(ひけなり)
引成とは、前場引け(前場の最後の取引)前にこの注文が発注されると、前場の引けで成行注文が発注されます。
また、後場引け前も同様です。後場引け前に引成注文が発注されると、後場引けで成行注文が発注されます。
メリット
日足の終値で確実に約定させたい場合に有効です。引成注文の使用例は以下の通りです。
株価の日足データは比較的容易に入手できます。そこで、日足で分析したところ、特定の場合に終値で売却すると成績が良い!と分かったとしましょう。
この場合、この引成注文で売却することになります。
デメリット
前場または後場の終値で成行注文ですから、どの株価で約定するのか、あらかじめ確定させることができません。
確実に約定させるよりも、特定の価格での約定を重視する場合は、指値注文で発注します。
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