財務諸表分析をする場合、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を別々に考えることがあるかもしれません。さらには、B/SやP/Lの特定の数字のみに注目して分析することがあるかもしれません。

しかし、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)はお互いに関連している数字であり、切り離して考えるものではありません。そこで、両者の関係をざっくりと確認しましょう。

貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の関係

下の図は、損益計算書と貸借対照表の関係を簡略的に書いたものです。これを使ってそれぞれの関係を考えましょう。

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貸借対照表に「資産」とありますが、この資産を使って経済活動をします。その結果、収入が得られますし、諸経費が発生します。上の図の矢印1がこの関係を表しています。

また、矢印2では、負債から支出に矢印が引かれています。これは、金利負担だったり、元本の返済を示しています。負債は借金ですから、返済しなければなりません。負債を使って資産を購入し、その資産で収入を得るわけですが、金利負担なども生じてしまいます。

よって、借金する場合は、少なくとも金利や返済負担よりも大きな収入を得る必要があります。

こうして経済活動をした結果、今期の成績が損益計算書で確定します。収入と支出の差が損益となります。その損益は貸借対照表に反映されます(矢印3)。

黒字だったら、負債を減らすかもしれませんし、負債の額は維持して純資産を増やすかもしれません。両方を同時に実行するかもしれません。

また、この図では書かれていませんが、上の全体の経済活動でどのように現金または現金同等物が動いたか、これを示したものがキャッシュフロー計算書です。これら3つの表によって、その企業の経済活動が理解できるようになっています。

ある指標を分析するとき、他の指標との関連を意識する

上で概観しました通り、財務諸表分析は常に他の数字との関係を意識しながら実行するものだと分かります。例えば、以下のとおりです。

例:
前期は借金が大きく増えたため、自己資本比率がかなり低下してしまった。財務健全性が損なわれたのでは?と心配だという場合。

評価例1:
財務健全性重視という立場で見れば、自己資本比率がかなり下がってしまうのは容認しがたいでしょう。

評価例2:
しかし、その借金の用途は、別の負債の返済のためではなく別の有望な新規事業のためであり、かつ、既に効果が見え始めている(=損益計算書にプラスの影響をもたらしている)という場合、その借金は良かったと判断可能でしょう。

評価例3:
その借金の目的が新規事業など前向きなものであったとしても、その結果が悪い場合(=損益計算書にマイナスの影響をもたらしている)には、その借金はダメだったと判断できるでしょう。

評価例4:
一方、新規借金の目的が他の借金返済のためのような、新たな収入を得るためのものでない場合には、その企業の将来について注意する必要があるかもしれません。

新規に借金をしたという事実一つを考えてみても、その目的や効果などを勘案すると評価が大きく変わってくることが分かります。

実際に財務諸表を評価する場合には、このような単純な分析では対応できないかもしれません。しかし、ある一つの項目の変化が他の項目にどのような影響を与えるのか、あるいは、どのような項目の影響があってこの項目の数字が変わったのか、といったことにも留意しながら財務諸表分析をしましょう。

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