上場企業で働いている人がどの株式を買うか検討するとき、自分が働いている会社の株式を考えるでしょう。「自社従業員持株会」のような組織を作っている会社もあるかもしれません。

しかし、自分の勤め先の株式を買って運用するのは、リスクがあります。事前にそのリスクを考察しましょう。

自分の務め先の株式を買うリスクとは?

例えば、ある人が、自動車メーカーAで働いているとします。その自動車メーカーAは上場企業です。その人は、A社株を買いました。すなわち、自分が働いている会社の株で株式投資を始めました。

その後の展開をシミュレーションしてみましょう。

ケース1:会社の業績が中長期的に絶好調の場合

業績が良いので、給料が大きく伸びると期待できます。絶好調なので、株価も上昇を期待できます。すなわち、ダブルでおいしい状態です。

これは最高に良い状況でしょう。

ケース2:会社の業績がそこそこの場合

「そこそこの業績」とは、市場予想と実際の業績が同じくらいで、かつ、大きな発展がないものの悪くもない業績の場合です。

この場合は、給料はそこそこの伸びで、株価も安定するかもしれません。安定した環境ですので、安心できるかもしれません。配当や株主優待をもらいながら、幸せに過ごすことができるでしょう。

ケース3:会社の業績が悪い場合

例えば、大きな事件や事故が発生して巨大な特別損失を計上してしまった、他社に比べて有利だった技術が陳腐化して競争力がなくなってきた、などという場合です。

給料の伸びはあまり期待できないでしょう。業績の具合によっては、リストラ策を作ることになるかもしれません。こうなると、その会社で働き続けることさえ難しいかもしれません。

さらに、業績が悪ければ、株価は下落基調になってもおかしくありません(実際、下落基調になるでしょう)。

ダブルで厳しい状態です。

良い場合も悪い場合も、その度合いが大きくなる

勤め先の株式

上のケース1からケース3まで見て言えるのは、「給料の増減の方向と、株価の上昇・下落の方向が同じである」ということです。すなわち、所得環境が良くなる時は株価も上がるので二重で良くなり、所得環境が悪くなる時には株価も下がるので二重に悪くなるということです。

最悪の場合は、会社が倒産するときです。給料はゼロになり、株価もゼロです。

よって、自分が働いている会社で株式投資すると、「自分の経済状況を大きく上下にブレさせる効果」があるため、安定した経済生活を送るのが難しくなる場面があるかもしれません。

リスクを大きくしない方法

上のようなリスクを回避する方法には、いくつかあるでしょう。

対策1:ライバル会社の株式を買う

自分の勤め先がライバル会社との競争に負けてしまう場合、自分の給料は厳しくなるかもしれません。しかし、ライバル会社の株を持っているので資産運用は成功するかもしれません。

自分の勤め先がライバル会社に勝つ場合は、給料が上がる一方で、自分が買った株の株価(ライバル会社の株価)は下落するかもしれません。しかし、給料が上がるので資産運用のマイナスをカバーできるでしょう。

ライバル会社の株式を買うのは、心情的には難しいかもしれません。しかし、業績の波の影響を小さくする方法の一つです。

この方法は、「自分の会社が成長して資産運用も同時に成功する」というプランを描きづらいかもしれません。そこで、別の方法も考えてみます。

対策2:自分が働いている会社とは関係がない会社の株式を買う

上の対策1は、もうひとつ問題があります。「業界全体の業績が中長期的に悪化する場合に、給料も株価も下落してしまうかもしれない」ということです。

自分の会社もライバル会社も業績が悪くなるので、分散効果が効きません。

そこで、これに対応する方法を考えます。すなわち、「勤め先と関係がない分野の株式を買う」「勤め先と事業分野が全く異なる株を買う」です。こうすれば、自分の給料の増減と株式運用の成否の関係が薄くなります。

例えば、勤め先の売上が日本国内に偏っている場合は、海外事業比率が高い会社の株を買うということです。

対策3:債券なども買う

個人向けの債券は、株式のように大きな値上がりは期待できないかもしれません。また、株主優待もありません。しかし、定期的に利息をもらえますし、満期が来れば全額償還されます。

資産の安全度が、株式に比べて高くなります。

そこで、格付の高い債券に限って、分散投資します。こうすれば、資産の大幅増加はないとしても、大幅下落の可能性も低くなります。

純粋に業績を見て株式を買うのが、株式投資の王道かもしれません。しかし、上場企業で働いている場合は、上に紹介しました内容も考えておきたいです。

 

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