上場企業の財務諸表を見ると、何やら文章が長々と書いてあります。そして、表もたくさん出てきます。いったい、これらは何を表しているのでしょうか。概観しましょう。

財務諸表は企業の通知表

財務諸表とは何か?に対する答えを一言で書くならば、企業の今期の通知表であるという表現がぴったりでしょう。ただし、学校の通知表については、特に知識がなくても読めます。「うちの息子は算数が苦手で体育が好きなんだな」といった具合です。

一方、財務諸表は、知識がないと読めません。また、専門家と呼ばれる人々が同じ財務諸表を見ても、評価が異なることが珍しくないでしょう。これが厄介です。

なぜそんなことが起きるのか?ですが、理由はいくつか考えられます。

・財務諸表の掲載情報が多く、どれを重視するかによって評価が変わる
・数多くの情報をどのように関連付けて読むかによっても、評価が変わる
・読む人の財務諸表読解力が、大きく影響する
・財務諸表に書かれていない情報(知識)が、評価に影響を与える

こういったことが考えられるでしょう。人によって評価が変わってしまうという財務諸表分析ですが、基本的な事項は共通しています。そこで、共通事項を確認しましょう。

また、財務諸表分析の基礎を知っていれば、「あの専門家は×××と言っているけれど、自分は・・・だと思うな!」ということを、財務諸表を根拠にして考えることができます。

「他人の意見に流されず、自分の知識と判断で投資できる」ということです。財務諸表分析能力はとても大切でしょう。財務諸表は基本的に3種類の表で構成されます。そこで、それらを順に確認しましょう。

損益計算書(P/L)

損益計算書(Profit Loss)とは、企業の1年間の収入と支出を一つの表にまとめたものです。英語の頭文字を使って「P/L」と呼ぶこともあります。

下の図は、損益計算書のイメージ図です。

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上の図のように、収入を上に、支出を下に書きます。収入と支出を合計すれば、今期は黒字だったのか赤字だったのかが分かります。

もちろん、収入の方が支出よりも多くなければなりません。支出の方が多いと赤字になってしまいます。企業活動をしていると赤字になる場合も出てしまいますが、何年も赤字が続くと企業の存続が危うくなります。長期で株式投資をする場合は、黒字基調の会社の株式を買うことが大切でしょう。

貸借対照表(バランスシート、B/S)

損益計算書(PL)は1年間の成績を表現したものですが、貸借対照表(バランスシート)は、現在の資産状況を示します。すなわち、過去から現在までの全ての経済活動の結果、今はどうなっている?ということを示しています。

イメージ図は下の通りです。

balance-sheet-image

大きく3つの部分に分けられます。左側に資産の部があります。現金、自動車、不動産などです。そして、右側に負債と純資産があります。すなわち、貸借対照表とは「左側に書いた資産は、だれのお金で手に入れたの?」ということを示しています。

例えば、資産の額が全部で1億円、負債が7千万円で純資産が3千万円だとします。すると、1億円の資産を持っているけれど、そのうちの7千万円は借金して買ったものだと分かります(左側の金額と右側の金額は、常に一致します)。

負債とはすなわち借金ですから、企業の安全度という面で見れば借金は少ないほうが良いです。しかし、いつも自分のお金だけで事業をしなさい!という条件が付くと、「いい案件があるのに、お金がなくてビジネスができない・・・」ということになって残念です。

このため、借金はあっても構わないですが、どれだけ有効に使われているかが大切です。

キャッシュフロー計算書

何十年も前、まだキャッシュフロー計算書の制度がなかったころ、「黒字倒産」が問題になっていました。損益計算書では黒字だし、貸借対照表もそんなに悪くない。でも、キャッシュ(現金)が尽きてしまって倒産という事態です。B/SやP/Lではキャッシュフローの様子を把握しづらいです。

しかし、キャッシュフロー計算書の制度ができてからは、この問題が軽減されました。企業内部に現金または現金同等物がどれくらいあるか?を知ることができるからです。

下の図は、キャッシュフロー計算書のイメージ図です。

cash-flow-image

営業キャッシュフローとは、企業活動で得た収入や支出の状況を、現金の動きを中心にして示したものです。同様に、投資面と財務面でも現金の動きを示しています。

この3つの合計が「増加額」の欄に現れます。そして、期首残高と合計すれば期末の現金残高が分かるという仕組みです。

財務諸表はこの3つの情報だけで分析するだけではありません。しかし、この3つが特に重要ですので、役割を把握しておきましょう。

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